明日葉
「今日その葉を摘んでも、明日には新しい葉が出てくる」と言われるほど、成長の早い明日葉 ( アシタバ ) 。明日葉は、房総半島、三浦半島、八丈島や大島など伊豆七島といった温暖な地方の海岸に自生するセリ科の多年性植物で、古くから食用、また、乳牛の牧草として栽培されてきました。
セリ科の植物は薬効成分を含む植物として知られていますが、最近になって、明日葉から幾つかの新しい成分が発見され、テレビや雑誌などで注目を浴びるようになりました。
明日葉の薬効成分
セリ科の植物は外観がよく似ていて区別しにくく、明日葉はセリ科アンゲリカ属のハマウド、シシウドとよく混同されます。明日葉の茎や根を折ると、その切り口からネバネバした黄色い液汁がにじみ出てきます。これは明日葉だけに見られるものなので、根や茎を折ってみて黄色い液汁が出れば明日葉と判断することができます。
この黄色い液汁には、カルコンとクマリンという成分が含まれています。
カルコンは、明日葉特有の成分で、いろいろな作用があります。たとえば、胃酸の分泌を抑える作用や強い抗菌作用、発ガンを促進させる物質を抑える作用、血液の粘着や凝固を抑えて血栓ができるのを抑える作用、血圧を下げる作用、などなど。ほかにも、血行不良による老廃物の塊であるセルライトの排出・代謝を促進させる働きがあり、明日葉由来のスキンケア製品は、セルライト対策のマッサージ用オイルに使用されています。
一方、クマリンは、明日葉特有の成分ではなく、ホップや食用菊の花、ガジュツ ( 紫ウコン ) などにも含まれていますが、明日葉には特に豊富に含まれています。クマリンは、アルツハイマー型痴呆症を予防する効果があると言われています。また、クマリンにも抗菌作用があります。
明日葉の有効成分はカルコンやクマリンだけではありません。明日葉にはカリウムやカロテン、ビタミン B 群などの成分も豊富に含まれています。豊富な栄養素で知られるケール ( キャベツやブロッコリーと同じくアブラナ科の野菜で、青汁の原料の一種 ) やほうれん草などの青菜と比較しても、ビタミン群やミネラル類、食物繊維の含有量は抜きんでています。また、植物としては良質のタンパク質を含有していることも明らかにされています。
明日葉を育ててみよう!〕
自分で栽培して収穫した野菜をいただくのはまた格別です。
明日葉の育て方は比較的簡単で、さほど手間もかかりません。日当たりのよい暖かい場所であれば、一年中成長し、収穫できます。半日陰でも成長するので、家と塀の間などにも植えられますし、鉢植えやプランターでも育てられます。
土は、腐葉土を下地として、黒土と砂の半分に混じったものを上土とし、水はけを良くします。水はけが良くないと、根腐れを起こします。栽培容器としてプランターではなく発泡スチロールを利用する場合には予め底に穴を開けておきましょう。
■種からの育て方
明日葉は、成長の早い植物ですが、種から栽培する場合は、新芽が出るのは春の成長期でも早くて1ヵ月、遅い場合は2〜 3 ヵ月かかります。種蒔きは基本的には 12 月から 1 月に行います。種は半日か1日水につけておき、水揚げした種を土の上にばらまきます。このとき、種の上には土をかぶせません。
土や種が乾燥すると発芽しません。十分に水やりを行ってから、保温と保湿のために藁や新聞紙をかぶせます。発芽するまでは藁や新聞紙の湿り気を保つようにしましょう。
苗が 5 〜 6cm 程度に育ったら間引きします。間引きしたものも植えられるので、以下<苗からの育て方>を参考にしてください。
■苗からの育て方
明日葉を種から栽培するよりは明日葉の苗をプランターに植えて育てるのが便利で簡単でしょう。
株と株の間を 30cm ほど空けて明日葉の苗を1本ずつ植えます。この程度の間隔を取らないと、明日葉の苗は大きく育ちません。
明日葉を育てるのに適した気温は 25 〜 32 度で、夏の暑さと冬の寒さが苦手です。日照は、 12 月から 3 月の冬期はできるだけ多くし、春期・秋期はほどほどにします。 7 月から 9 月はあまり日照を必要としません。明日葉の苗を庭に植えるなら、生け垣の根元などが好ましいです。直射日光が当たらないように注意しましょう。
明日葉の苗が根づいてから 1 〜 2 週間経った頃に、ごく少量の油粕、鶏糞、新聞紙を焼いた灰などを根元にまきます。
春先には柔らかい芽先にアブラムシがつくことがあるので、マラソン乳液などの殺虫剤で駆除しましょう。寒冷地の冬には地上部が枯れるので、株の上にわらなをを敷して保温しましょう。
新芽が 20 〜 30 cm程度に育ったら、根元を 5cm ほど残して摘みます。次の新芽は古い茎の根元から出てくるので、根元ギリギリから摘むと、次の新芽の頭を摘むことになります。
明日葉を食べてみよう!
明日葉は、葉も根っこも食べられる植物です。
一般的な料理に利用するのは葉と茎です。葉の緑色が鮮やかで、茎がしなやかなものを選びましょう。天ぷら、おひたし、ごま和え、といった食べ方がポピュラーです。通常の青野菜と同じように考えてよいでしょう。
アク ( エグミ ) があるので、塩を入れた熱湯でさっと茹でた後に、十分に水にさらします。てんぷらにする場合は、生の若葉にそのまま衣をつけて揚げてください。
明日葉入りの混ぜご飯、茶碗蒸し、野菜炒め、サラダにしても美味しいです。大葉の代わりに刺し身を巻いてもよいです。おすすめは明日葉の茎のベーコン巻きとマヨネーズ和え。
明日葉の茹で汁も、捨てないで、冷やして飲んだり、焼酎で割ったりすると、無駄がありません。
葉を乾燥させて揉んで明日葉茶 ( アシタバ茶 ) を作ったり、茎をおろして青汁にしたりしてもよいでしょう。ちょっとクセはありますが、比較的飲みやすい味です。
明日葉に限らず、野菜の大敵は乾燥です。明日葉を霧吹きで湿らせてから、ポリ袋などに入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。このとき、ポリ袋などに空気を入れて、つぶれないように口を閉じるとよいです。 2 〜 3 週間程度はもちます。
なお、黄色い液汁は、強い染色作用があり、衣類などに付着すると落ちにくいので、注意してください。
明日葉を野菜で食べるのが面倒あるいは苦手な方はサプリメントや健康茶、市販の青汁などを利用するとよいでしょう。明日葉の粉末であれば、明日葉の粉末であれば、牛乳やヨーグルトに混ぜたり、パンの生地や餃子の皮に混ぜたり、スープやお味噌汁に入れたり、工夫次第でバラエティーに富んだメニューができあがります。
また、明日葉を練り込んだうどんやそばも市販されているので、上手に利用しましょう。
明日葉は女性の強い味方
便秘、冷え性、むくみ、セルライト、貧血、骨粗しょう症、などなど、女性の悩みは尽きません。明日葉はその女性の悩みを解決してくれる心強い味方です。
■便秘対策に
明日葉に含まれる食物繊維は、にんじんやほうれん草の約 2 倍。また、葉緑素も豊富です。食べ物の消化を促進し、胃腸の働きを活発にしてくれるので、便通がよくなります。
■むくみ・冷え性・セルライト対策に
明日葉には利尿作用のあるカリウムが多く含まれています。この利尿作用によって水分代謝が活発になります。水分代謝が活発になると、むくみが改善され、血液循環がよくなり、冷え性が改善されます。むくみや冷え性が改善されると、セルライトの解消にも繋がります。
■貧血対策に
明日葉には、カリウムのほかにも鉄分や葉酸など、造血に作用する栄養素も豊富に含まれています。これらの成分は、貧血を予防したり、疲労回復を促進したりします。
■骨粗しょう症
骨には、骨の形成を促進する骨形成たんぱく質 (BMP2 , Bone Morphogenetic Protein-2) があります。明日葉にはこの BMP-2 の生体内での生成を促進する作用があるので、骨粗しょう症の予防に繋がります。
明日葉の原産地である八丈島では、江戸時代から日常食または民間薬として親しまれてきました。明日葉のおかげで、当時の島の人たちは江戸の人たちに比較して、はるかに健康で長寿であったと言われています。現在でも、毎日明日葉を食している島の人たちはみな、長寿で健康、若々しさを保っています。
健康のため、美容のため、毎日の食生活に明日葉を上手に取り入れたいものです。