手話の歴史
「手話」は音ではなく、視覚から指や手の動作、顔の表情から読み伝える言語です。聴覚障がい者(聾者)の間で主に利用されています。
手話の歴史
■手話歴史の始まり
ろう者は、音を使った会話が不可能であったため、昔からある程度のサインを手で表現し、会話を行っていたといわれています。歴史上1700年代までは手話という言語がなかったとされています。 手話が言語として使われ始めたのは、ド・レペー神父が1760年フランス・パリに設立した、ろう者が集団で生活ができる世界で始めての聾唖(ろうあ)学校でした。
この学校では、健常者が利用している読み書きを学ぶことができました。学校で生活するまで各々のサインを使用していた聾者達が、それらを統一させ他人に伝えたいことをどんどん手話として語数を増やしていったことが手話の歴史の始まりです。
■日本の手話歴史
日本の手話歴史についてお話します。日本手話の歴史の始まりとなったのは、1878年に初めての聾唖学校「京都訓聾唖院」が設立されたことです。院長であった古河太四郎氏が手話を用いた教育法に熱心に取り組み手話が確立されて行きました。ただサインとして使われていた手話は、教育者と生徒の間で言語として発展しました。
1908年には、東京と京都の聾唖者団体と交流を始めたことで、急速に手話言語が定着して行きましたが、団体同士で独自の手話を使用していました。手話を統一しようという動きから、1969年に全日本ろうあ連盟より、全国へ向けた標準手話が制定されたのです。
これが現在、聾学校で教育されている「日本手話」の歴史です。一方、京都の手話学習団体では、ろう者、健聴者共に利用できる手話として「日本語対応手話」を作り出していました。この日本語対応手話は現在では多くの人が利用し、テレビドラマや教育講座で使われているものです。「聾者が手話で会話する」という観念は、健聴者が度々手話を目にするようになったからなのです。
■ろう者教育
日本での聾者への教育方法は、2通り行われています。
- 口話法(発音法)
- 手話法
音を感じる事のできないろう者は口の動きから相手の言葉を読み取ります。また、自身の言葉を伝えるために発音を練習し、話せるようにするのです。少しでも聴力のある者(難聴者)には口話法は効果があるのですが、全く聴こえない聾者には発音を理解することがとても難しいものです。
指や手の動作、顔の表情から言葉として相手に伝える手話を用いて話す方法です。口話法と併用して用いることで、聴覚障害を持っていても幼稚園生や小学生のうちに言語を表現できる範囲がより一層広がりました。
■手話の歴史から見る教育問題
日本の歴史上初となった聾唖学校では、手話法での教育を行っていましたが、国際聾唖教育会議ではすでに言語を統一化するために手話法ではなく口話法での教育を促していました。日本はその方針を取り入れ、聾唖学校で手話を教えることは行わず口話法での教育がなされました。学校で手話を学ぶことはなくても聾者の集まる場では、すでに手話を利用していた聾者から引き継がれ利用されていたのです。
1990年代に入ると、社会に認められ始めた手話法での教育を行う学校が増えて行きました。現在の日本の聾唖学校では、手話法・口話法どちらかの教育に力をおいているのですが、規制されているわけではなくどちらも利用されています。
手話の種類
日本で使われている手話には種類があります。日本語対応手話が主流となっていますが、日本手話が用いられるようになったことで、自分の思っていることや言いたいことをスムーズに伝える機会が増えました。
■日本手話
独自の文法から作成された手話で、主語→述語の順のように、日本語の文法とは異なっています。日本語としての言語ではなく独自なものであり、聾学校の経験者は主に日本手話を使用しています。
■日本語対応手話
日本語と、文法が同じであり、この手話は言語ではないという反発もあるようです。しかし、現在多くの教育現場で使用されており、手話ニュースやテレビドラマでの手話というものは日本語対応手話がほとんどです。これは先天的なろう者だけではなく、中途難聴者や中途ろう者、健聴者にとって、日本語の文法をそのまま並べた日本語対応手話は容易に使うことができるのです。
外国手話
もちろん外国での手話も存在していますが、日本の手話歴史とはまた違ったものです。日本語と英語という言語が違うように、手話にも各々の国の手話が使われています。
■フランス手話
世界で始めての聾唖学校を設立したド・レペー神父が、作成した手話を基に現在のフランス手話となっています。
■アメリカ手話ASL(American Sign Language)
アメリカの手話は独自のサインで使われていましたが、フランスで作られた手話から発展していきました。世界で共通手話といわれることもあります。英語と同様に世界に広く知れ渡っていますが、アメリカ手話が共通ということはおかしいという反論も出ています。
■イギリス手話BSL(British Sign Language)
イギリスとアメリカでは、英語という言語は共通なのですが、イギリス手話は、フランスから渡ってきたアメリカ手話とは異なるものです。しかし、このイギリス手話も世界では主に使用されていて、共通と考えられているのです。