ゴリラ
“密林の王者”と呼ばれ凶暴なイメージがあるゴリラ。ところが“森林の賢者”という正反対な呼ばれかたもあります。これは19世紀も終わりになるまでゴリラが(きちんと)発見されず、伝説の生き物とされていたことに由来するのかもしれません。ここではそんなゴリラの生態やお話について語ってみます。
ゴリラの動物学
ゴリラをただの動物と称するのは問題かもしれません。ゴリラはチンパンジーなどと同じく“ヒト科”に属する生物で、人類に最も近しい種です。まずはゴリラがどのような種でどのような生活を営んでいるかといったゴリラの動物学を紹介します。
■ゴリラとは
ゴリラはサルの中でもヒトに近いチンパンジーの一種、ゴリラ属に属します。実際知能が高く、密林を好んで生活する上に住処を転々とするなど大変な用心深さを持っています。そのためかゴリラが人間に発見されたのがもうすぐ20世紀にもなろうという19世紀後半、生態の研究がやっと進みはじめたのが20世紀後半と言う神秘の生物です。
■ゴリラの生態・その1
ヒトに近いとされるゴリラですが、その体長はオスになると2m以上、体重は200kg〜という巨大さで、そのうえ怪力と密林の中でゴリラに勝てる生き物はまずいないと思われます。しかも外敵を発見するとゴリラの特徴、例の胸を叩く「ドラミング」などを使って威嚇しますのでゴリラの研究が進むまで、ゴリラは「密林の王者」という凶暴なイメージがついたのだと思われます。
■ゴリラの生態・その2
しかし、研究が進むにつれて研究者たちはゴリラ=凶暴というイメージが間違いと言うことに気づきます。なぜなら彼らはシルバーバック(ゴリラのオスの成体。背中の毛が銀色に輝くところから名づけられました)を長とした家族で生活し、家族同士のつながりにあふれた暮らしを行います。さらに一度決めた相手に一生添い遂げることも知られています。
■ゴリラの生態・その3
また彼らは基本的に草食(まれに虫などを摂る場合もある)であり、ほかの生き物との闘争を避けようとする性質があります。ドラミングといった威嚇行為も相手に縄張りを知らせて引き取ってもらおうという行為であり、こちらが刺激しなければ攻撃をしてくることは少ないとされています。
ゴリラの種類
ゴリラは基本としてアフリカ大陸の森林に生息しています。住む位置などによって大まかにニシローランドゴリラ、ヒガシローランドゴリラ、マウンテンゴリラなどに大別されます。それぞれを簡単に説明してみましょう。なお、ゴリラの分類には旧式と新式がありますが、ここではなじみ深い旧式を採用しています。
■ニシローランドゴリラ
中央アフリカ・コンゴ・ナイジェリア・赤道ギニアなどを中心としたアフリカ西部に生息しているゴリラです。新しい分類法ではニシゴリラとクロスリバーゴリラの2種に分けられています。他のゴリラより赤っぽく見える体毛が特徴になります。
■ヒガシローランドゴリラ
コンゴ東部、ルワンダ、ウガンダなどに生息するヒガシローランドゴリラはニシローランドゴリラの仲間と思われてこの名がついていますが、現在では後述するマウンテンゴリラのほうにより近い種とされています。そのためか新しい分類ではグラウアーゴリラという別の名が与えられています。
■マウンテンゴリラ
ヒガシローランドゴリラとほぼ同じ位置にすむマウンテンゴリラ。最初はローランドゴリラと一緒にされていましたが、現在はマウンテンゴリラで一種とわけられ、さらにヒガシローランドゴリラはマウンテンゴリラの亜種とされています。新しい分類でもマウンテンゴリラのまま変りません。
消え去る森の賢者ゴリラ
人間と比べてもほとんど変らないとされる遺伝子を持つ森の賢者・ゴリラ。しかしながら現在はエボラという病気が蔓延したり、環境変化などがおこったりなど生息数が減っています。ここではゴリラと絶滅の危機に関して紹介します。
■ゴリラの保護・その1
ゴリラは争いを好まず、しかもストレスによる下痢などを起こすことがあるなど知的で繊細な、どちらかと言うと「おとなしい」生き物です。そのため人間による乱獲や環境破壊などの影響でほぼ自力で個体数を回復することは難しいとされるレベルにまで個体数が減少してしまいました。
■ゴリラの保護・その2
実はゴリラは肉体的には強力でも、繁殖能力や精神面などにおいてはかなりかよわい生き物です。出産数そのものが少ないうえに一度出産するとその子供が大きくなるまでの4、5年は新しい子供を産みません。しかも繊細なので環境が変ることによっても繁殖に大きな影響がでてしまいます。
■ゴリラの保護・その3
こうした状態ですのでもはや自然回復では間に合わないと判断され、各地の動物園や保護団体などによる保護・繁殖プロジェクトが行われていますが、充分な成果には至っていません。日本ではバイクやカーナビなどの名前に採用されるほど親しまれた「森林の賢者」はこのまま消え去ってしまうことになりかねないのです。