牡丹
ちょっと前にテレビドラマで“牡丹と薔薇”というのがありました。初期のあらすじをぱらっと言うと生き別れの姉妹のお話です。まずしいけれど愛情たっぷりに育てられた姉とお金持ちだけれど愛情にとぼしかった妹のお話ですが、この姉妹の名前が牡丹と薔薇でした。すなわち牡丹は内面の美しさを、薔薇は外見の美しさを象徴した名前です。それではこの牡丹という花がどのようなものなのか紹介して行きましょう。
牡丹とは
牡丹はボタン科ボタン属に属する”低木“です。同じ仲間に芍薬(シャクヤク)がありますが、こちらは”草“になります。薔薇のように花弁を幾重にも巻き込んだ花が咲きます。その花の美しさから別名を”花中の王“と呼びます。ちなみに芍薬はその部下の宰相、”花相“と呼ばれます。日本には古くに中国から渡ってきたようです。
牡丹の栽培
日花札の図柄に使用されているなど本にも古くから伝わっており、親しまれている牡丹。多くの栽培種があり、今も新品種が作り出されていることから実際いくつの品種があるかはっきりしていません。それでは日本人に愛される牡丹を自宅で育てるときのワンポイントを紹介しましょう。
■牡丹の植え付け
栽培用の牡丹は芍薬を台木に接ぎ木で作られるので、一般家庭では牡丹を種から育てるとより苗を植える植え付けを行います。時期的には秋口、9月半ば過ぎ〜12月前くらいが良いでしょう。
■牡丹のお家
つまり植える場所です。水はけがよく、しかも乾きすぎない場所を選択しましょう。雨降り後に水溜りが出来てしまうようなところは避けるか、もしくは盛り土を行います。逆に乾燥しやすいところはしきわらなど直射日光を防ぐ工夫が必要です。特に夏場は注意します。
■牡丹の植え付け
めでたくお家が決まったら深さ50センチほどの穴を掘り推厩肥と呼ばれる肥料を両手に山盛りになる程度の量を入れた後直接牡丹の根があたらないように5センチ前後の土を入れ、その上に牡丹を植えます。推厩肥は園芸店やホームセンターで購入できます。
■牡丹のしつけ
植えたすぐの年に花を咲かせてしまうと、根がまだなじんでいないために牡丹そのものが弱りかねません。かわいそうですが剪定してしまいましょう。翌年から少しずつ様子を見ながら数を調整します。剪定は基本的に上のほうを優先して落としましょう。なお春先、芽を出す頃と花が咲いたときに追い肥を与えます。油粕や科学肥料などを与えましょう。
■牡丹の剪定
牡丹は花を愛でるのが目的ですから花が咲き終わったら花首をばっさり剪定してしまいます。そのままにすると実をつけるため、余計なエネルギーを消費してしまいます。また牡丹は“木”ですから芽を剪定してある程度樹の形を作ることが出来ます。その場合は初夏〜夏頃がいいでしょう。
牡丹のお話
牡丹は日本人にも馴染みの深い花ですから、古くから歌にされてきたり絵画のモチーフにされてきたりと生活に潤いを与えてきました。そこでここではそういった牡丹の話をして見ましょう。
■美味しい牡丹・その1
紅葉、桜、そして牡丹。これらに共通していることがありますがご存知でしょうか。実はこれらはみな肉の別称です。紅葉は鹿の肉、桜は馬肉、牡丹は猪肉です。紅葉は花札で鹿と一緒に描かれているから、桜は馬肉のきれいな桜色から、牡丹は猪の肉をきれいに盛り付けると牡丹の花にみえるから、が通説です。
■美味しい牡丹・その2
もち米とうるち米を混ぜてついたおもちをあんでくるんだ食べ物。つまりはぼたもちですね。このぼたもち、漢字では牡丹餅と書きます。春先の牡丹の花が咲く頃にご先祖の供養に作ったところから牡丹餅となったようです。同じ食べ物を秋口にはおはぎ(お萩)と呼ぶのはやはり萩の咲く頃に作るからという意味です。
■お薬と牡丹
牡丹は芍薬と共に漢方薬の材料としても珍重されます。たとえば痛み止め・消炎など。芍薬と同様筋肉の炎症やこむら返りなどの痛みの緩和に使われます。ちなみに芍薬も牡丹も薬効成分があるのは根の部分で、これを乾燥させてから使用します。
■唐獅子牡丹
中国の唐の時代に伝わってきた唐獅子。獅子ではありますが、普通のライオンではなくあくまで幻想的な獅子です。ちなみに沖縄のシーサーもこの唐獅子から派生したものです。やがて動物の王・獅子と花の王・牡丹を組み合わせた唐獅子牡丹という図柄が好まれ、任侠道に生きる男たちが好んでこの図柄を彫り物のモチーフに組み込むようになりました。そういえば仁侠映画のタイトルにも使われています。
■牡丹燈籠(牡丹灯篭)
お菊さんが現れて「いちま〜〜い、にま〜い」とやる番町皿屋敷とならんで夏の会談の定番にあげられるのがこの牡丹灯篭でしょう。実は日本が元ではなく、元話は中国の怪談から。それを日本向けにアレンジしたのがこの「怪談・牡丹燈籠」(灯篭ではなくこっちが正式のようです)です。好きな男と添い遂げられなかったお露さんの出て来る話ですが、こういうウェットな怪談は日本人向けだと思います。